細胞分裂を見たよ!

君も科学者,顕微鏡体験プログラム報告

君も科学者~細胞分裂を見てみよう~

 2024年3月23日(土)君も科学者~細胞分裂を見てみよう~を行いました。

最初に、タマネギの根で作ったプレパラートで細胞分裂を観察しました。そのあとネギの根を使って自分の手でプレパラート作りにも挑戦しました。

どんなものが見えたかな?

タマネギの根の細胞分裂を観察

タマネギの根のプレパラートは、根を薄くスライスしてスライドグラスに貼り付け、ヘマトキシリン染色したものです。あきさんが昔作ったものです。

これを使って細胞分裂像をさがします。細胞分裂は根の先端からほんの少し内側の部分でよく起こっているので、まずその部分をさがして見る必要があります。

参加者は小学4年生から中学生まで、さらには以前に学校の授業で細胞分裂の観察をしたことがあるという高校生まで、バラエティに富んだ顔ぶれになりました。

顕微鏡を使うのが初めてという小学生のために使い方の解説をしました。とくにタマネギのプレパラートはガラス製なので、顕微鏡のレンズを下げすぎてガラスを割らないよう、よく説明しました。結局、ガラスを割った人はいませんでした。

高倍率の顕微鏡観察は難しい!

細胞分裂の観察のためには、400倍の高倍率で顕微鏡観察をするのですが、高倍率で分裂像をさがそうとするとかなり難しいです。対物レンズは4倍、10倍、40倍があるのですが、まず4倍(接眼レンズが10倍なので合わせて40倍)か10倍(つまり100倍)の対物レンズでそれらしき像をさがし、これはというときに40倍(つまり400倍)の高倍率にして観察するのです。

高倍率になるとピントが合う範囲がとても狭くなるので、なかなかピントが合わず、そうこうしているうちにスライドガラスが動くと分裂像がどこかへ行ってしまい、ピントもずれて何を見ているのかわからない、ということになります。

苦労しながらもみんな一生懸命にさがし、細胞分裂している像が結構たくさん見つかりました。スマホを接眼レンズに当てて写真を撮ったり、見つけた分裂像をノートにスケッチしたり、みな思い思いに細胞分裂の観察をしていました。

スマホで結構きれいな写真が撮れていました。

分裂中の細胞で染色体の形状を観察して、ひも状の染色体が細胞の中央に集まり、つぎに両端へ離れていきやがて2つの細胞に分かれるという、細胞分裂の進み方が理解できたようです。

プレパラートを自作する

ネギの種をまいて4日もすると根が出てきます。その根を薬品で固定し、希塩酸で柔らかくした後、酢酸カーミンで染色してカバーグラスをかけて押しつぶせば分裂している細胞の赤く染まった染色体が見える、はずでした。

自分の手でネギの根を押しつぶしてプレパラートにするという作業はとても難しかったです。

希塩酸で根を処理すると、細胞が柔らかくなりバラバラになりやすくなるのですが、塩酸はこどもには危険だし、今回は塩酸を使わないでそのまま押しつぶしすることにしました。

根をスライドグラスの上に置いてピンセットと柄付き針で根を崩し、カバーグラスをかけて押しつぶすのですが、うまく広がりません。

根は塊のままぐちゅっとつぶされるのですが、細胞が幾層にも重なりよく見えない状態でした。

それでも子どもたちからは「うわっ、すごい!」と歓声があがりました。

細胞がつながっている様子をみられて嬉しかったようです。

今日は長い間顕微鏡を見ていたので目が疲れました。でも細胞分裂の最中の染色体のすがたが目に焼き付いています。

3年間やってきた「君も科学者」は今回でおしまいです。こどもたちにとって科学的な目で自然を見たことが思い出の一つになればと願っています。

<コミュニケーター あきさん>