スギ花粉の観察で科学者体験

4-6年生向け,君も科学者,植物,顕微鏡

君も科学者~スギ花粉をみつけよう

 2023年3月18日(土)「君も科学者~スギ花粉をみつけよう」を行いました。

花粉症の人にはとても厄介なスギ花粉は、春になるといっぱい飛んでくるとされています。 今回は、スギ花粉が本当に空中を飛んでいるのかを調べ、その姿を見るために実験と観察を行いました。

空中花粉捕集器で花粉を捕えます

空中花粉を捕まえる器具としてダーラム型花粉捕集器というものがあります。今回はそれに似せた捕集器(全然似ていませんが・・)をアクリル板で手作りして、センターの屋上に設置しました。

試しに前の週に仕掛けたところ、結構花粉が捕まったので、これなら大丈夫と安心して、1日前から仕掛けました。

ところが、夕方から翌日午前中まで大雨が降りました。

スライドグラスを回収に行くと、雨水でびしょびしょです。乾かして顕微鏡観察してみたのですが、やはり花粉はほとんどついていませんでした。

みんなには前の週に仕掛けたスライドグラスを見てもらいました。

顕微鏡観察の前に数学? 化学?

生物顕微鏡による観察では、スライドガラス上の対象物に水を1滴落とし、その上からカバーグラスをかけて観察するのですが、花粉に水をかけると花粉の中の濃度が水より濃いので、水が中に入り花粉が割れてしまいます。ものの本によると13%くらいの砂糖水を使うとよいということなので、作ることにしました。

その濃度の砂糖水をつくるにはどうするか?

簡単にするため、重量パーセントで計算しました。参加者は小学6年生で分数の計算はできるということなので、砂糖10グラムを何mlの水に混ぜればよいか、計算してもらいました。

単純な分数計算ではないのでちょっと手間取りましたが、、水は67mlでよいことがわかりました。

砂糖と水の分量を量り、ビーカーに入れて混ぜて砂糖水をつくりました。

花粉の観察なのに、メスシリンダーやビーカーを使い化学の実験みたい。ちょっと科学者っぽく見えます。

スギ花粉がたくさん見つかった!

先週仕掛けたスライドグラスに砂糖水を垂らし、カバーグラスをかけて顕微鏡で見るとスギ花粉がたくさん見えました。

そのまま無色でも見えますが、赤色のサフラニン液をちょっとだけかけると花粉が赤く染まってよく見えました。

みんな上手にプレパラートがつくれるようになり、いよいよ顕微鏡で観察を始めました。

頭にぴょこっと突起が出ているのがスギ花粉です。

先週のスライドグラスにはたくさんのスギ花粉が見られました。 先週は暖かかったのでたくさん飛散していたのですね。

ほかにもいろいろな花粉が

スギだけでなく、今咲いている花の花粉も見ました。ハンノキの花粉は花粉管口が5, 6個見えサッカーボールみたいです。トサミズキは3ヶ所凹んだところが花粉管口です。ハナモモは三角形の花粉で三角の頂点に口があります。アセビの花粉は4つがくっ付いた4集粒です。

それぞれ植物の種が違うと花粉の形も違うのですね。いろいろな形があっておもしろいですね。花粉症の元として嫌っているだけでは、おもしろさがわからないかもしれませんね。

花粉が割れるよ

小学生たちにとっては花粉の形がいろいろというより、顕微鏡下で花粉が割れて中身がとび出すのがおもしろかったようで、割れるところをねらって動画を撮るのに夢中になっていました。

動くものは強いですね。

今年度の君も科学者は今回で終了しました。次年度もいろいろと自然の不思議を解き明かそうと準備しています。科学好きのみんな、ぜひ参加してくださいね。

【コミュニケーター あきさん】